

住まいをもっと快適で、質の高いものにしていくにはどうすればいいのだろう。その答えの一つとして、1974年から日本の住まいづくりに取り入れられたのが、北米生まれのツーバイフォー住宅でした。ツーバイフォー住宅は高性能と合理性を追求した住まい。それまでとは異なる斬新な工法から生まれる安全性や居住性の高さ、デザインの柔軟性は、当時の住まいづくりの新しい可能性を広げました。以来、ツーバイフォー住宅は日本の住宅の発展とともに歩み、今ではこの国の基本的な住まいづくりのひとつになっています。それはちょうど、異文化であったイスのある生活が、私たちの暮らしに欠かせないものになったように。北米の住まいから日本を代表する住まいへ。ツーバイフォー住宅。日本の住まいのあたらしい基本です。
なぜツーバイフォーは地震に強い?
世界でも有数の地震国といわれる日本の住宅にとって、優れた耐震性は不可欠な基本性能です。数ある建築工法の中でも、地震に対して抜群の強さを発揮する工法として知られるツーバイフォー工法。その秘密は、外からの力を建物全体で受け止める点にあります。ツーバイフォー工法は床、壁、天井の6面が一体となった構造。地震の揺れを各面で効率よく吸収し、負担が一部分に集中することを防ぎます。また、各面は枠組材と構造用合板等を一体化させたパネル=“ダイヤフラム”になっていて、ツーバイフォー工法のきわめて優れた耐震性の源になっています。建物の床や天井を形成する水平ダイヤフラムは外からの力を分散するとともに、建物のネジレを防止。壁を形成する垂直ダイヤフラムは、建物の変形や倒壊を防ぐ機能を持っています。これは1987年に建設省(現・国土交通省)と日本ツーバイフォー建築協会によって行なわれた3階建て住宅の実物大耐震実験でも明らかにされました。
構造板とH形鋼を組み合わせたものがダイヤフラムです。
加えた力が各部に分散され、負荷がかかりにくい構造であることが分かります。
枠組みされた木材部と構造用合板が「面」となって揺れの力を受け止め、分散・吸収。
面で受け止めるので、強い揺れに耐える特性を有しています。阪神大震災でも驚異的な強さを実証
1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部を襲った阪神・淡路大震災。震度7という近年まれに見る激震に加え、大都市の直下で発生した地震であったために、想像をはるかに超えた大惨事となってしまいました。この地震による家屋の被害は全壊約10万1000棟、半壊を含めた一部損壊が約28万9000棟以上(平成7年4月24目の自治省消防庁発表より)。しかし、このような壊滅的な状況下でさえツーバイフォー住宅のうち96.8%が特に補修をしなくても継続して居住可能な状態を保ったことがわかっています。死者の約9割にあたる人が建物の倒壊による犠牲者といわれる阪神・淡路大震災、この事実からも住まいの耐震性がいかに大切であるかがわかります。

ツーバイフォーは台風・竜巻にも強い
建物に大きな力が加わるのは、地震の時ばかりではありません。毎年、日本列島に大きな被害をもたらす台風や竜巻についても住まいは十分な備えが必要です。ツーバイフォー工法の構造は、台風などによる強風に対しても地震の場合と同様に優れた強度を発揮。台風以上に強烈で大きな被害をもたらすハリケーンに見舞われる北米大陸で生まれただけに、強風に対する独自のアイデアが採用されています。たとえばそのひとつが“ハリケーンタイ”と呼ばれるあおり止め金物。この金物の1個当たりの許容耐カは実に 2,303Nもあります(風速70mの時に金物1個当たりに掛かる力は1,666N)。このハリケーンタイは屋根のたる木と構造壁をがっちりと連結し、強風にあおられても屋根が吹き飛ばされないようにします。その他にもツーバイフォー工法ではそれぞれの部位に応じた最適な補強金物類が使用されており、強風に対しても万全の対策をほどこしています。

住まいの大敵“結露”もしっかリ防止
室外と室内の温度差の急激な変化によって起こる結露。壁の内部や小屋裏でとくに発生しやすいこの結露は、木材の腐朽の原因となるだけでなく、カビの繁殖など住まいにさまざまな悪影響を与えます。ツーバイフォー住宅の壁内には断熱材が充填されているため室外と室内の温度差がゆるやかに緩和され、結露が発生しにくい構造になっています。また、室内で発生した湿気は換気口によって空気の流れをつくり室外に放出します。このようにツーバイフォー工法では、湿気や結露に対するさまざまな対策によって耐久性を確保、長く暮らせる丈夫な住まいを実現します。国内外で長寿の建築物を数多く残しているツーバイフォー工法。その優れた耐久性は今後ますます実証されていくことになるはずです。
豊平館(明治13年建築/札幌)
旧旭川偕行社(明治35年建築/旭川)万全の対策で湿気から住まいをガード
永く暮らしていける丈夫な住まい。木造住宅の場合、耐久性の高い丈夫な住まいを実現するためには、木材をいかに湿気から守るかがカギとなります。防湿処理が施されていない場合、条件によっては木材に腐朽が起こるケースがあります。そこでツーバイフォー工法では、さまざまな方法によって万全の防湿対策を行います。まず、ほとんどの構造用製材に含水率19%以下の乾燥材を使用。つぎに、建物のなかでもっとも湿気にさらされる可能性がある土台や1階床下部分に万全の防湿処置を施します。土台には薬剤の加圧注入によって防腐・防蟻処理を施した木材を使用。各階床組みおよび、各階床立ち上がり部分の構造用合板や床組みから高さ1m以上の主要な木材に防腐・防蟻剤を塗布するなど、まさに二重三重の対策によって住まいの耐久性を高めています。

木は火に強い、という事実
一般的に木は火に弱い素材と考えられています。確かに木材が燃えやすい性質を持っているのは事実です。しかし、ある程度の太さや厚さがある断面の大きな木材は、いったん燃えると表面がこげて炭化層をつくります。このため内部まで火が進行せず、強度が低下しにくい性質を持っています。これに対し、火に強い素材と考えられている鉄は550℃を超えると急速に柔らかくなって変形、その強度が大幅に低下し、住宅の場合では骨組みが崩れ落ちてしまうことにもなりかねません。木は火に強い。700〜950℃にまで達するといわれる現実の火災においても、実大火災実験の結果などから、これは明らかな事実として確かめられています。
木材の発火を遅らせる石こうボード
ツーバイフォー工法ではすべての天井や壁の内側全面に、厚さ12.5mm以上の朽こうボードが貼られます。この石こうボードの中には約21%の結晶水が含まれていて、炎があたると熟分解を起こして約25分もの間、水蒸気を放出するという優れた特性を発揮します。このため、万一火災が発生しても天井裏や壁の内部の温度が上昇しにくく、構造材が発火点(約450℃)に達するまでの時間を大きく遅らせることができます。また、床・壁の内部に埋め込まれる断熱材も火災時の熱が構造材に伝わりにくくし、石こうボードとともに木材の発火を遅らせることでツーバイフォー住宅の耐火性をいちだんと高める働きをします。
火の進行を妨げる、ファイヤーストップ構造
火は空気の流れに沿って燃え拡がっていきます。この性質から住宅の火災では床下や壁内部のすき間、天井裏が火の通り道となるケースが多く見られます。しかし、ツーバイフォー工法では火の通り道となる床や壁を構成する構造材などがファイヤーストップ材となり空気の流れを遮断、火が燃え拡がるのをくい止めます。また、床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部の構造は、防火区画がいくつもつくられているのと同じ状態。このひとつひとつの区画によって火の進行はさらに遅くなります。このように二重三重の防火機能を持つ「ファイヤーストップ構造」によって、ツーバイフォー住宅は初期消火の可能性が高く、火災時の被害を最小限に抑えます。
木造ながら公庫では準耐火構造に
ツーバイフォー住宅の優れた耐火性は、数々の実験においても実証されています。例えば、1987年の建設省などが中心となって行なった実物大住宅の火災実験では、耐火措置のされていない木造軸組工法の住宅が約10分で1000℃に達したのに対し、ツーバイフォー住宅では約35分〜40分後という結果がでています。また、1991年に地震直後の火災を想定し、実験建物に一定の変形を加えた上で出火させた3階建て住宅の火災実験においても、ツーバイフォー住宅は発火後60分を経過しても火元の1階部分から階上への延焼はなく、1階部分が燃えるまでに73分という抜群の耐火性を発揮しました。このような実験の結果から、ツーバイフォー工法の耐火性は高い評価を獲得。ツーバイフォー工法で建てられるほとんどの住宅が住宅金融公庫における省令準耐火構造に認定され、融資条件もより有利になっています。

“遮音”と“吸音”2つの防音で快適生活を実現
クルマや道路工事の騒音、近隣の家からの生活音など、目常の中にあふれているさまざまな音。快適な住まいを実現するためには、この音への配慮も重要なポイントです。機密性の高いツーバイフォー住宅の構造は同時に、音の出入りを抑える優れた遮音性も備えています。さらに壁や天井に使用される石こうボードも遮音性の高い素材で、音が壁を通り広けることを防止。また、壁の内部に充填される断熱材は吸音材としても効果的に機能し、音を吸収します。つまり、ツーバイフォー住宅はクルマなどの外部の騒音を防ぎ、室内の音は外部に漏れにくい住まい。住む人のプライバシーをしっかり守りながら、静かで快適な暮らしを実現します。

高気密・高断熱の構造が優れた省エネ性を実現
経済性はもちろん、地球環境の保全という観点からも近年の住まいづくりでますます注目されているのが省エネルギー性。言い換えれば、機密性や断熱性に優れ、より少ないエネルギーで快適な居住性を実現する冷暖房効率の高い住まいが求められています。木材の熱伝導率は鉄の約350分の1で、非常に断熱性に優れた建築資材。ツーバイフォー住宅はこの木材をふんだんに使用しているだけでなく、とくに外気の温度の影響を受けやすい外壁は、ツーバイフォー独自の構造と壁内に充填された断熱材との相乗効果によって高い断熱性を発揮します。その上、従来の木造住宅のように床下から冷気が入り込むことも少なく、鉄骨住宅のように鉄骨を通じて外気の冷たさが室内に伝わるヒートブリッジ現象を防ぐことができます。このようにツーバイフォー工法は、その構造自休に優れた断熱性・機密性を持っているため、“省エネルギー住宅”を実現する代表的な工法でもあるのです。また、最上階の天井や外壁、一階床内部に断熱材を効果的に使用。建物全体を断熱材ですっぽり覆うことで断熱効果をいっそう高めています。










